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哀しい物語 Archive

突然の呼び出しに隠れた本当の目的 <哀しい物語・9>

相手の両親と彼女の旦那さんとの直接の話し合いから1週間ほど経った頃、旦那さんの携帯に相手の母親から書類に判を押してもらう必要があるから来て欲しいという内容のメールが届いたという。メールが届いた翌日の夕方、旦那さんの仕事の後で相手の自宅へ向かうことにしたのだそうだ。このときは彼女も彼女の旦那さんも書類に判を押すだけですむと思っていたという。しかし目的は判を押してもらうことだけではなかったそうだ。それは旦那さんが相手の家へ訪れてから判明することになったという。

この日も判を押すだけならと彼女は先日尋ねたときと同様に車の中で待っていたという。旦那さんが相手の家を訪れて数時間後、旦那さんは暗い顔で車に戻りそのままうなだれていたそうだ。そのうなだれ方に心配し彼女が聞いたそうだ。何があったのか、と。その問いに旦那さんは答えたという。判を押すだけの目的ではなかった、と。

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彼女の通院と『男の約束』 <哀しい物語・8>

彼女に降りかかった『青天の霹靂』ともいえるこれらは、1人で抱えるにはあまりに大きく衝撃的だった、という。さらには自分の犯したことがあまりに大きかったのか憔悴しきっている旦那さんの様子もあり、彼女は心療内科を受診することを決めたそうだ。自分1人で抱えるにはあまりにも大きすぎる内容だし、かといって自分の抱えるつらさを旦那さんに今ぶつけると確実に旦那さんがつぶれてしまうと思ったらしい。さらには、辛い状況に陥っている旦那さんを支えるためにも自分がしっかりしなければ…と思ったのもあったそうだ。

そうして彼女は心療内科を受診することを決めたのだが、初めての心療内科受診は彼女とにとってさほど助けになった気にはならなかったらしい。彼女は単に自分の抱えていることを誰かに聞いてもらいたかっただけだったのに、と寂しい笑顔で言う。

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ひたすら続く待機時間と彼らの出した結論 <哀しい物語・7>

旦那さんが自ら犯した過ちに懺悔し、彼女が最良の方法を望みながら共に涙を流した次の日、旦那さんは相手の元へ今後のことを話し合うため出かけていった。事実を知った日のことはそれなりに覚えているそうだが、この日のことはどうして過ごしていたのかほとんど覚えていないの、と彼女は言う。ただ覚えているのは、その日一日をほぼ泣きながら過ごしたことと、夕方になって警察から電話がかかってきたことぐらいだという。

その電話は旦那さんが乗っていっている車が他者の迷惑になっていることを知らせる電話だったそうだ。連絡してきた警察官は旦那さんに連絡するよう伝えたそうだが、彼女は旦那さんの置かれている状況を予想し連絡は付かないだろうと伝えたという。しかし警察官の方も他者が迷惑を被っているのだからと連絡するよう迫ったそうだ。彼女は渋々それを伝えるため旦那さんに連絡したものの、相手との話し合いの最中のためか案の定連絡が付くわけもなく、その旨を折り返し警察に悲痛な声と共に申し訳なく伝えたそうだ。対応した警察官もそんな彼女の消沈した声を聞いてどうしたものかという声を漏らし、警察の方から連絡してみるという話になったそうだ。暫くして再度警察から連絡があったものの旦那さんに連絡が付かないことを伝えるもので、もう暫く様子を見ることを伝えたそうだ。その後、警察から連絡が来ることはなかったらしい。ただでさえ辛くてたまらない彼女は、この警察とのやりとりによって更にいたたまれない気持ちでいっぱいになってしまったそうだ。

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堂々巡りの考えと神様と悪魔への願い <哀しい物語・6>

新しい命と相手の思い、自分の四半世紀の人生を両天秤にかける…。彼女自身、本当にどうして良いのか分からなかったという。これまでの10年間でどん底だったときも幸せだと思える時間も、旦那さんが傍らで支えてくれていたおかげで生きてこれたのは事実なの、と。でも、この出口のない押し問答も紛れもない現実で、私にとって何を犠牲にするかなんて考えれば考えるほど決めることが出来なくなっていくのよ…と力なく彼女はつぶやいていた。

確かにそうだと思う。自分がその場に立ったことを想像すれば答えなんて出ないと思う。旦那さんと共に過ごした時期が自分の全人生と比較して決して短いとは言えない時間を占め、苦楽を共にしていたのなら「はいそうですか」と割り切ることは出来ないだろう。だからといって『新しい命』を犠牲にしてまでその『想い』は守るべきものかと問われれば、その『想い』は『尊い命』の前では単なる自分のエゴでしかないと想わざるを得ないだろう。でも問題はそれだけではない。

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同じ轍を踏みたくない、という選択 <哀しい物語・5>

そんな彼女と旦那さんとの対峙している間にも相手からのメールは届いていたそうだ。文章としては結構長い文章だったそうだが、端的には

『こんな事になってしまったのは私が全部悪い』

というような文章で反省を表した文章だったらしい。だからといって簡単に引き下がろうとは思えなかった、と彼女は言う。旦那さんと共に苦楽を共にした10年を簡単に手放したいとは思えなかったのももちろんだけど、学生の頃に経験したことと同じ轍を踏みたくないのもあったから…。そう言って彼女は寂しそうに微笑んで中を見上げていた。

それは彼女が旦那さんと知り合うよりずっと前の話…。

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