Home > 哀しい物語 > 同じ轍を踏みたくない、という選択 <哀しい物語・5>

同じ轍を踏みたくない、という選択 <哀しい物語・5>

そんな彼女と旦那さんとの対峙している間にも相手からのメールは届いていたそうだ。文章としては結構長い文章だったそうだが、端的には

『こんな事になってしまったのは私が全部悪い』

というような文章で反省を表した文章だったらしい。だからといって簡単に引き下がろうとは思えなかった、と彼女は言う。旦那さんと共に苦楽を共にした10年を簡単に手放したいとは思えなかったのももちろんだけど、学生の頃に経験したことと同じ轍を踏みたくないのもあったから…。そう言って彼女は寂しそうに微笑んで中を見上げていた。

それは彼女が旦那さんと知り合うよりずっと前の話…。

同時は彼女もまだ学生。ある意味で恋愛にあこがれを持っている年頃で、彼女もまたそんな1人だった。

彼女も例外なく当時の同級生の1人を好きになり告白をする。その男子もその告白に承諾ておつきあいを始めるものの、1ヶ月足らずで男性からの申し出により関係が終わることになる。しかし彼女としてはどうしてもあきらめることが出来ず、このことが結果的に泥沼の状態を生む結果となる。

彼女だって頭では終わっていることと分かっているものの、同級生という立場、さらには同じクラブ員という立場上、毎日逢わざるを得ないことで気持ちの整理が着かない。さらにはその男子が思わせぶりな態度を取ることもそれに拍車をかける。そんな状態の中、彼女の友人がその男子に恋愛感情を持つようになり、彼女とその友人は共に好きな男子のことについて話をすることとなる。

その友人と彼女は親友と言っても過言ではない関係だったのは私も知っている。その友人は彼女の気持ちを知っている手前、その男子への気持ちに遠慮をしていた、と彼女に話したそうだ。そして友人は言う。「私は彼のことが好きだけど、友人であるあなたのことを考えるとどうして良いか分からない」と。そんな友人に対して彼女は、自分と相手とはすでに終わっている話、自分が勝手に好きでいるだけだから遠慮しなくて良い、つきあったらいい、と友人に伝え身を引くことを決意した。だがそれまでずっと思い続けていた彼女にとって、友人が好きになったからという理由だけであきらめきれるほど簡単な恋心ではなく、結果として友人と男子との関係を目の当たりにすることで彼女は更に苦しむことになってしまったのだ。

そんな苦い経験を踏まえて彼女は相手にこう返信したという。

『あなたには申し訳ないが夫を譲る気にはなれません。私にとって夫は最も大切な人ですから』

すると相手からは前に送ってきたメールとは違う態度のメールが送られてきたのだそうだ。お腹の子どもは自分と旦那さんに望まれて出来た子どもだ、自分たちには罪があるかも知れないが子どもに罪はないのに父親のいない子どもにするのか、と。『旦那さんに望まれて』という内容にショックを受けつつも、相手のメールを受けて彼女も更に返信したという。

『その気持ちは十分理解できる。でも私の立場も理解して欲しい。あなたが私の立場ならどう考えるのですか』

彼女は自分の置かれている立場を理解してもらいたい一心でそう送ったそうだ。しかしそのメールへの返信は彼女の気持ちとは裏腹な内容だったという。

『私が奥さんの立場だったなら、私のような人が現れたときはつらくても罪のない子どものことを思って潔く身を引きます』

出来てしまった『なんの罪もない子ども』のために身を引くべきは自分、しかし10年という長い年月の間を共に過ごしてきた想い出を振り返ると夫を簡単に手放せない自分。そして過去に友人の気持ちを優先して苦しむことになった自分…。

そんな自らが抱く複雑な思いと相手からの別離の宣告とも取れるメールの内容が彼女の頭の中でただひたすらにぐるぐると回っていたという。自分にとって、夫にとって、そして相手にとって、最良の方法はないのだろうかという、願いにも似た問いと共に。

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://shinonon-web.net/2008/05/24/95/trackback/
Listed below are links to weblogs that reference
同じ轍を踏みたくない、という選択 <哀しい物語・5> from ある日の小さなつぶやき

Home > 哀しい物語 > 同じ轍を踏みたくない、という選択 <哀しい物語・5>

Tag Cloud
  • mamenagy project
  • チーム・マイナス6%
最近の投稿
Recent Reactions
Recent Pings

Return to page top